プライバシー その他の考慮点


OECDの勧告から英米法、大陸法とそれぞれそれぞれネット社会を形作る立法化を進めていくこととなります。そして日本も。この先を確認する前に「プライバシー」を考えていく上でそこに関わる法律を確認していきたいと思います。


・肖像権

この権利は、まだまだ議論はあるけれど人格権の上にのっていると考えられる権利。被写体が対象となることから画像、映像コンテンツではもっとも大事な「プライバシー権」だとも考えられます。

「写真や絵画、動画についてみだりに写し取られたり、公表されたりされない権利」

肖像権利はもう一つ肖像が生む財産的権利があります。パブリシティ権などと呼ばれ、有名人の肖像が生む財産的な価値に対してのものです。

二つの性格はあるものの、ネット上では「写真」「映像」「似顔絵」などが対象となることを考えると、プライバシーの権利を考える時に、同時に考えるべきものであることは間違いないでしょう。


著作権

著作権は著作物に対して与えられる権利で、財産権の一種であると考えられます。必要以上にプライバシー権として考慮する必要はないかもしれないけれど、無視する事は出来ません。

その理由としては「情報は誰のものか?」というのがネット上で著作権を考えると行きつく先になるからです。「情報は誰のものか?」の「情報」の中には個人の情報が含まれるので、プライバシーの立場では「自分の情報は誰のものか?」という事になります。さらに「どこまでが守るべき自分の情報なのか?」という話にもなります。

著作権にももう一つの性格があり、著作者人格権と呼ばれ、財産権のほうは譲渡可能なものであり、こちらは譲渡不可能なものを指しています。


表現の自由

「言論」「創作」「広告」「宣伝」「報道」など個人の人格形成及び、民主制の基本となる権利です。プライバシーの立場からは特に「個人の人格形成」を考慮する際に、表現の自由は切り離す事が出来ない権利となります。よく自己実現とか言われたりするのは、人は「アイデンティティを形成していく」ものであるということを表しています。

表現の自由を考える時に派生する権利として「知る権利」もあげられます。「消極的自由」などとも呼ばれる権利で、自分が所属する国家、企業、団体の情報を個人は知る権利を持っている、という考えです。


これらの権利がプライバシーと無関係でないこと。そして星社会化によって新たな局面を向かえていることが見えてきます。情報セキュリティが「情報を守る」のであれば、「情報が誰のもの」か分からなければ、誰にはオープンにして、誰にはクローズするという判断などつくはずがありません。情報流出時の多くの混乱はこの辺りの不明瞭性が原因であることが少なくないはずです。



「誰の何を何から守るのか」「何故まもらなければいけないのか」こんな事が一般認知されていかないと、日夜汗をかいているセキュリティ技術者も浮かばれない、と考えております。