海辺のカフカ ナカタさんと情報

遅ればせながら村上春樹さんの「海辺のカフカ」を読みました。

爽やかで美しく素晴らしい作品だと思いました。


「ナカタさん」という象徴的な人物が登場しますが、

このナカタさんは「空っぽ」の象徴として物語に参加しています。


この空っぽというのは、

過去が無い事を象徴しています。


過去がなければ守るべき情報など存在しないのです。


「情報」は現在の私達に、

歴史として遺産として、

思い出として、

取り返しのつかないものとして、

そして自分の存在価値として現れてきます。


ナカタさんは人間の存在価値を情報とは別の種類の次元で、

それを探るために登場しているのだと思います。

情報とは「過去の集積でしかない」と言えるのかもしれません。


情報を守る事が自分を守る事であるならば、

自分の過去を守る事が自分を守る事になります。


「経済」は過去と現在を因果関係として結びつけるものでしょう。

どうやら経済と言う物が、

情報セキュリティを考える上で、

根本に横たわっている事を押さえておく必要があるんじゃないでしょうか。