みんなのプライバシー 侵害は心外 3


前回は、法という実践的な場で、プライバシーにスポットが当たったきっかけを調べて、それが「盗聴」であったという事まで確認しました。このきっかけで分かる事として、電話の会話というのは一人で出来るものではありません。「誰かとの会話を第三者に聞かれる事」そういった状況でプライバシーにスポットが当たったことになります。プライバシーは共有する人としない人を分ける、そんな側面があるという事です。現在のSNSなどに参加すると分かる通り、情報を共有する場合、僕らは付き合いの距離感や種類を立てわけています。


電話の会話を第三者が無断で聞くことを「盗聴」といいます。プライバシーを侵している、プライバシーという価値を盗んでいる、という解釈でいいでしょう。国家が犯罪組織に対して無断で盗聴器をしかけ証拠をつかんだ。しかし裁判ではその会話を証拠として認めない判決をした。これは「プライバシー」というモノが、基本的な人権や人格権の上にあるモノだと考えるのが自然です。政府と言えども、電話回線を流れる会話(アナログデータ)に干渉する事は許されないと。そして大事な事として、僕はこの話を考えた時に不自然さを感じていないという事です。つまりプライバシーを守るために「盗聴」は国家と言えども許されるべきじゃない、と知らず考えているようです。自分が誰かと電話で会話している内容なんて誰に聞かれてもいいや、とは考えてはいない事です。


電話の会話内容は、住所や氏名やIDではありません。この事は、現在のサービスを提供する企業が「住所、氏名、メールアドレスなどと言った個人情報」を気にしていればよい、という事を表してません。LANケーブルを流れるデータであるパケット情報(デジタルデータ)をサービスアルゴリズムに使用するという事は当然である、とは言ってません。多少飛躍はするけれど、むしろ無断でデータベースに保存し、アルゴリズムに組み込むのは「窃盗」であると言ってるように思えます。


ここでのテーマは「プライバシーの侵害でどんな被害が?」なので、先走るのを抑えてどんな被害を被るのかを考えていきます。とりあえずあまりややこしくならないように消費者目線で考えてみます。

・窃盗
・名誉棄損

ネット上でパッと思いつく2つです。金銭の被害は「窃盗」です。ありもしない噂を広げられたりするのは「名誉棄損」です。スパムメールが大量に届くようになるのは、最近あまり聞かなくなったけれど、夜中の暴走族のようなもので、平穏を乱される行為ですか。もしもプライバシーの権利、というモノがあるのならばそれはどういったモノになるんでしょうか。

メールの内容、購入履歴、閲覧履歴、チャットの会話等々

これらのデータを勝手に使用されるのは、アナログデータでの「盗聴」と同じではないでしょうか。


現在問題となっている幾つかのキーワードが出てくる事になりました。ネット上でプライバシーに関連するモノを考えると上のようなモノになります。書籍「PUBLIC」において、ジェフ・ジャービスは、「プライバシーは倫理だと信じるようになった」と書いています。そして次のように結論しています。


プライバシーとは「知る」倫理だ。パブリックとは「シェアする」倫理である。

彼はプライバシーとは、誰かの情報を受け取る人の選択をつかさどる倫理である、と説明します。ちょっと分かり辛いですが、この後彼が考える具体的な倫理を見て、それについて検証していきたいと思います。その事で「プライバシーを守るのは誰か」「どう守るか」について見えてくるものがありそうです。