ジェフ・ジャービスのプライバシー 2

ジェフ・ジャービスは、プライバシーとは「知る倫理」である、という立場から具体的な倫理感をまとめる作業を試みました。彼の仕事はもっと日本でも評価されていいのに、と思います。前回は「情報を盗まない」「何を行うのか明確にする」「情報を守る」の3点確認したけれど、一見当たり前に見えるこれらの倫理は、商業的な勢いの裏に隠れて、平気で侵されています。
しかし、その状況はいよいよ危険さが暴かれて、プライバシー情報の取得者(サービス事業者)は「知る倫理」を突きつけられ、真剣に考える時代へと流れてきています。


彼のまとめた倫理の続きになります。

情報源を明らかにする
情報源に正統な評価を与えない事は、一種の窃盗だ。情報がどこから来たのかは大事な事であり、その功績を讃えるべきだ。


たとえば僕がこのジェフ・ジャービスが勇気を持って書いたこのプライバシーに関する倫理を、さも自分が調べ、想像して、今後のプライバシーの未来はこうだ、などとまとめたように書くのは窃盗です。個人が大事になる、尊重するという事は、プライバシーを考える上でこれ以上ないほど大事な事でしょう。彼もまた自分の倫理を積み上げるために参考にした先人の言葉を積み上げています。


僕は若いころ作曲家として数曲を世に出しています。その曲達は著作権として法で守られています。林が作った曲としてJASRACに登録され使用される場合に著作権料を徴収してくれています。
しかし、思想や哲学、倫理は法に守られてはいない。出版印税という形はあるけれど。どちらも情報発信者にとっては同じように全力を尽くして形にされたものです。思想、哲学も法に守られるべきなのか、曲を法で守るのがおかしいのか、今現在判断の難しい事の一つです。


思想家やジャーナリストの誠意は、一つのテーマに対して誰がそのテーマを発案し、その後様々な学者がどう解釈していきたか、という先人の歴史を語る事です。これをネット上で表す作業は出典を明らかにする事であるし、リンクを張る事です。

情報にアクセス出来るようにする
自分についてどんな情報が所有されているのかを、本人が見れなければいけない


窃盗をする気が無いならこれも当然の事でしょう。さらに個人は自分の情報を変更、削除出来るべきです。自分の情報を削除するためにはサポートセンターに電話しなければいけないようなサービスもありますが、今後そういった情報の取り扱いはナンセンスである、というスタンスを取りたいですね。


それぞれがオンラインで自分の情報を削除する事を考えてみると、今までの業務アプリで多く採用されてきた「データの論理削除」は今後ちょっとした問題となって浮上してくるかもしれませんね。


プライバシーを考える事は、データを知る側の倫理を明確にしていく事である、という彼の考えは今のところ僕も100%賛同して、その上に自分の考えを積み上げようとしています。そして次は「コンテクスト」についてまとめていきたいと思ってます。